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デザインシステムとは? 再利用できるデザインパーツとルール定義で、Web制作をもっと効率的に
UI/UXデザイン
文責:
Trang Nguyen

デザインシステムは、チームや組織が足並みを揃えるのに役立つ、UX/UIデザインの重要な一部です。チームが大きくなるほど、デザイナーや開発者全員が同じ認識を保つための、明確でしっかりしたデザインシステムが重要になります。

はじめに:デザインシステムとは?

じゃあ、デザインシステムって一体何でしょう? アプリやウェブサイトのようなデジタル製品を作る人なら誰でも使える、究極のツールキットのようなものだと考えてください。基本的には、再利用可能な部品(ボタン、メニュー、アイコンなど)と、その使い方に関するルール(色、フォント、スペースの取り方など)を集めたものです。チームの全員がこのキットを使うことで、見た目の一貫性が保たれ、ものづくりがずっと速くなります。

デザインシステムの主な構成要素

  • スタイルガイド: これは基本的な「見た目と雰囲気」のルールです。どの色やフォントを使うか、アイコンのデザイン、レイアウトの基本原則(グリッドなど)などが定められています。スタイルガイドを定める目的は、すべてのアプリやウェブサイトで見た目を一致させ、統一感を持たせることです。
  • コンポーネントライブラリ: すぐに使える共通のデザインパーツがたくさん保存されている場所です。ここにあるのはたとえばボタン、ドロップダウンメニュー、検索バーなどのよく使われるデザインパーツ。チームはこのライブラリから必要なパーツを取り出して使うことで、デザインに一貫性を持たせながら、効率的に開発を進めることができます。
  • デザイントークン: これは、ブランドカラーの正確な色コードや、要素同士の間隔、見出しフォントのサイズなど、デザインの基本となるスタイルの値を定義したものです。いわば「スタイルの変数」のような役割を果たし、たとえばブランドカラーのブルーを変更したいときは、そのトークンを変えるだけで、使われているすべての箇所が一括で更新されます。これにより、デザインの一貫性を保ちながら、柔軟な変更が可能になります。
  • ドキュメント(ドキュメンテーション): これは、スタイルガイドやコンポーネントの正しい使い方をまとめた「取扱説明書」のようなものです。ここにはデザインについての明確なルールやガイドライン、たとえば「やっていいこと・ダメなこと」の例や、開発者向けのコードスニペット、アクセシビリティ(誰でも使いやすいデザイン)に関する注意点などが記載されています。

なぜデザインシステムが重要なのか?5つの利点

  1. 一貫性:見た目に統一感をもたらす

ウェブサイトやアプリが、まるで同じファミリーの一員のように見え、同じように感じられます。これにより、ユーザーが混乱することがなくなり、ブランドがしっかりとして信頼できるように感じられます。

  1. 効率性:開発スピードが上がる

完成済みの部品(パーツ)と明確なルールがあるので、チームははるかに速くものを作ることができます。些細なことのために毎回「車輪の再発明」をする必要がなくなり、無駄な時間が減って、より早く製品をリリースできます。

  1. 拡張性:プロダクトを成長させやすい 

新しい機能を追加したり、新しい製品を作ったりする必要があるとき、デザインシステムがあれば、ぐちゃぐちゃになったり一貫性がなくなったりすることなく、ずっと簡単に成長させることができます。しっかりとした土台(基盤)を提供してくれます。

  1. コラボレーション効率向上:チームの連携がスムーズに

デザイナー、開発者、その他関係者全員が同じルールブック(共通認識)を使います。これにより、混乱や意見の衝突が減り、チームでの作業がよりスムーズに進みます。

  1. アクセシビリティ:より多くの人が利用可能に

デザインシステムには、障がいを持つ人を含む誰もが製品を簡単に使えるようにするためのガイドラインが含まれていることがよくあります。これにより、最初からアクセシビリティを考慮したデザインを組み込みやすくなります。

デザインシステムはどのように作られる?

通常は以下のような手順でデザインシステムが完成します。

  1. 現場を整理する

最初に行うのは、すでにある要素をすべて集めて確認することです。現在使っているホームページやアプリの中から、ボタン、色づかい、文字の大きさや種類、図の印、画面の並び方などをすべて集め、一つの場所にまとめて見えるようにします。この段階では全てが統一されていないことに気づいても問題ありません。まず現状を把握することが大切です。

  1. 見直しと選別

1で集めた内容をよく観察し、うまく使われているもの、ばらつきが目立つもの、利用者にとって分かりやすいかどうか、自分たちの会社やサービスの印象に合っているかなどを考えながら、残すもの、直すもの、やめるものを決めていきます。

  1. 定義する
    見直した結果をもとに、正式に使う色、文字の種類や大きさ、図の印の形、間の取り方や並べ方のルールを決めます。これらが今後の見た目や使い方の基本のきまり =「スタイルガイド」になります!
  2. デザインパーツを作成する
    ここでは、よく使う画面の要素―たとえば送信ボタン、入力欄、選択メニューなど―をあらためて作り直します。これらはだれでもすぐに使えるように準備され、さまざまな場面で再利用できるようにデザインを整えます。この部品コレクションが「コンポーネントライブラリ」です!
  3. ドキュメント化する
    どんなに優れたシステムでも、使い方が分からなければ意味がありません。スタイルのルールやコンポーネントの使い方を、誰にでも理解できるように文書化しましょう。
    「これはOK/これはNG」といった具体例、開発者向けのコードスニペット、アクセシビリティの注意点なども含めると効果的です。
    ドキュメントは、今後チームが一貫性を持ってデザインを行うための要となります。
  4. メンテナンスする
    デザインシステムは一度作ったら終わりではありません。プロダクトは進化し、トレンドも変化します。常にアップデートを行い、必要に応じて新しい要素を追加したり、不具合を修正したりする仕組みが必要です。
    継続的に活用されるためにも、デザインの専任メンバー・チームを決めたり明確な運用ルールがあると理想的です。

デザインシステム作成に使用するツール

デザインシステムをつくるには、必ずしも特別な高機能ソフトが必要なわけではありません。ただし、作業をスムーズに進めるために、いくつかの便利な道具(ソフトウェアやサービス)を使うと、設計や管理がぐっと楽になります。
実際には、チームの状況に合わせて複数の道具を組み合わせて使うことが一般的です。

① 図や画面の設計に使う道具(デザインツール)

Figma(フィグマ)

インターネット上で動作するため、複数人で同時に作業ができ、再利用できる部品やスタイルを作りやすい点が特徴です。現在多くのデザイナーに支持されています。

Sketch(スケッチ)

特にMacでの利用に強みがあり、使いやすい画面と豊富な追加機能(プラグイン)で知られています。

② 実際の部品を作り、確認するための道具(部品の開発・確認)

Storybook(ストーリーブック)

開発担当者の間で特に人気があります。画面部品(ボタンや入力欄など)をひとつひとつ独立して表示・確認できるため、作りながらすぐに見た目や動作をチェックできます。そのまま開発者向けの説明書としても使われます。

③ ルールや使い方をまとめる道具(文書作成・管理)

Zeroheight(ゼロハイト)

先ほど紹介したFigmaやSketchで作った部品をそのまま読み込んで、まわりに説明文を書き加えることができます。デザインと説明を一緒に管理したいときに便利です。

Notion(ノーション)

本来は情報整理やチーム共有のための道具ですが、多くのチームがデザインシステムの説明書としても活用しています。自由度が高く、読みやすく整理できます。

④ その他の便利な道具

Specify(スペシファイ):色や文字のサイズなど「デザインの基本設定(デザイントークン)」を、設計から開発まで自動で同期するための道具。

Git(ギット):コードを管理するために欠かせないしくみ。GitHubやGitLabなどが使われます。

結局、大切なのは道具より「進め方」
どの道具を使うかよりも、「どんな流れで進めるか」が成功のカギです。
チームの規模・予算・目的に合った道具を選び、「誰が、何を、どうやって使うのか」をきちんと決めることが、よいデザインシステムづくりの第一歩です。

デザインシステム事例:実際の例からインスピレーションを得よう

「どんなデザインシステムを作ればいいのか、いまいちイメージがわかない…」

そんな時は、実際に公開されている他社のデザインシステムを見るのが近道です。

すべてを真似する必要はありませんが、どのように部品を整理しているか、どんなルールを書いているか、開発者やデザイナーがどう使うのか、といったヒントがたくさん見つかります。

以下は、特に有名なデザインシステムの一部です。まずは気になるものを覗いてみましょう。

■ Google Material Design(グーグル)

AndroidアプリやGoogleの各種サービスで使われている、有名なデザインシステムです。

洗練された見た目と柔らかい動き(アニメーション)が特徴で、色・形・間隔などがとても細かく決められています。全体として、シンプルで現代的な印象を保つことを重視しています。

■ Shopify Polaris(ショッピファイ)

ネット販売サービス「Shopify」が提供しているデザインシステムです。

販売者(ショップ運営者)が使いやすい画面を作ることに特化しており、実用的でわかりやすいガイドラインが整備されています。開発者とデザイナーが協力しやすいように、部品や文章の書き方が丁寧に設計されています。

■ IBM Carbon Design System(アイビーエム)

大規模な企業向け製品に対応するために作られた、非常に堅牢なデザインシステムです。

特に「誰にとっても使いやすくする=アクセシビリティ」への配慮が行き届いており、開発チーム向けの説明も充実しています。

■ Atlassian Design System(アトラシアン)

「Jira」「Confluence」「Trello」などの業務用ソフトで知られるAtlassianのデザインシステムです。

複数の製品にわたって見た目や使い勝手をそろえることを目的にしており、ソフトが違っても「同じグループの製品」だと感じられるよう工夫されています。

参考事例を見ると得られること

  • コンポーネント(部品)の整理方法
  • 色・文字・間隔などの決め方
  • ガイドラインの書き方
  • アクセシビリティの扱い方
  • チーム全体で活用しやすくする工夫

どれも「ゼロから作られた」ものではなく、課題に対応しながら育てられてきた実例です。

自分たちのチームや部署で取り入れられそうな、よい事例が見つかりますように!

まとめ

デザインシステムとは、本質的には、企業のホームページやアプリをつくる際に使う「再利用できるデザインパーツ」と「統一されたルール」を一つにまとめた、とても便利な道具箱のような存在です。
こうした仕組みがあると

  • 作るスピードが上がり(効率)
  • すべての見た目にまとまりが出て(統一感)
  • チーム同士の連携も取りやすくなり(協力)
  • 製品が成長しても混乱せずに対応できるようになります(拡張性)

初めのうちは準備や整備に時間がかかるかもしれませんが、それだけの価値があります。
手戻りが減り、混乱が少なくなり、結果として利用者にとっても使いやすい製品をつくることができるようになります。
「本気でよいオンライン体験をつくりたい」と考える企業やチームにとって、デザインシステムは非常に心強い味方になります。

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