2025年4月、当社の製品であるAIチャットボット「Kotae」は全面的にアップデートし、新バージョンをリリースしました。
Kotaeは、多くのお客様対応を抱える中小企業のために開発されたツールで、今回のリニューアルは、より直感的で使いやすいAIソリューションの提供に向けた大きな一歩となります。
本ブログシリーズでは、新しいKotae(v3)のデザイン・開発プロセスの裏側をご紹介します!
第一回となる今回は、「課題の整理」と「ユーザーリサーチ」についてです。

ユーザーの声を深く理解する
プロジェクトは、MVP(最小限プロダクト)版の利用ユーザーと社内ステークホルダーからのフィードバックを丁寧にレビューするところからスタートしました。特に、ユーザーの離脱率が高かったオンボーディング(初期設定)フローに注目。無料トライアル登録の段階でユーザーがつまずいているのではないかと仮説を立て、改善のヒントを探ることにしました。
今回のリサーチでは、以下の問いを設定しました。
- ランディングページは、Kotaeの魅力や無料トライアルの情報をしっかり伝えられているか?
- オンボーディングのどこでユーザーはつまずいているのか?
- ダッシュボードは、新規ユーザーにとって使いやすいものか?
さらに、リサーチのゴールとして以下を掲げました。
- 課題の発見:オンボーディングフローの中で、ユーザーが感じる課題を把握
- 改善の優先順位付け:課題の重要度を評価し、今後の改善方針を決定
- ユーザーの本音を聴く:Kotaeが解決できる、他の潜在的な業務課題を発見
体系的なリサーチ手法の活用
このゴールを達成するために、以下の2つのユーザーリサーチ手法を用いました。
- ユーザーインタビュー
ユーザーの業務内容、IT活用状況、課題、目標、ニーズをヒアリングするオープンインタビューを実施。Kotaeが期待に応えられている点と不足している点を洗い出しました。 - ユーザビリティテスト
新規ユーザーに実際にKotaeを操作してもらい、特定のタスクを実行してもらう中で、その行動や反応を観察。テスト後には振り返りのインタビューを行い、具体的なフィードバックを収集しました。
ユーザビリティを「効果・効率・満足度」で測定
ユーザビリティの評価には、以下の3指標を使用しました。
- 効果(Effectiveness):タスクを達成できたかどうか(達成/未達成)
- 効率(Efficiency):どれだけ早くタスクを達成できたか。専門ユーザー(コントロールグループ)と比較し、直感的な操作性を評価。
- 満足度(Satisfaction):System Usability Scale(SUS)という10問アンケートで操作後の満足度を数値化。
重要な「レッドルート(主要導線)」の確認
テストでは、以下のようなKotae利用の主要ステップをタスク化しました。
- ランディングページ訪問、無料トライアル登録、チャットボットの初期設定・学習
- ボットの精度向上のため、カスタム応答の作成
主な発見と改善の方向性
今回の調査で、Kotaeは「効果(タスクの達成率)」の面では良好でしたが、「効率性」に課題があることが明らかに。たとえば、専門ユーザーは約5分で完了するタスクを、新規ユーザーは平均17分もかかっていました。この差は、よりスムーズなオンボーディング体験の必要性を示しています。
さらに、SUSの平均スコアは56.9と目標を下回る結果に。ユーザビリティテストの観察内容を分析し、以下の6つのカテゴリーに問題点を分類しました。
- ランディングページ
- チャットボット設定
- 分析
- 履歴
- カスタム回答機能
- 全般的なUI/UX
これにより、課題の優先順位を明確化し、次の改善アイデア創出へとつなげるフレームワークを構築しました。
次回のブログPart 2では、今回見つかった課題をどのように改善し、より快適なユーザー体験へと進化させたのかその具体策をご紹介します。
どうぞお楽しみに!